History Of Silver Mountain



Silver Mountain は'78年にスウェーデンの南端の街マルメで Jonas Hansson を 中心に結成されました。Jonas は Silver Mountain を結成する前に、 Saturnus、Fire というバンドで活動していたようです。 バンド名の "Silver Mountain" はRainbowの "Man On The Silver Mountain" からとったものです。結成当時は Rainbow や Deep Purple のコピーを中心にしていたようです。それから '79 年には 1000枚限定の 自主制作シングル "Man Of No Present Existence"、B面 "Axeman and the Virgin" をリリースします。このときのメンバーは、
Jonas HanssonGuitar,Vocal
Morgan Alm Guitar
Ingemar StenqistBass
Marten HedenerDrums
というラインナップでした。この作品についてJonas自身は"赤面する程 恥ずかしい出来"といっていますが、全体の雰囲気は北欧色の漂う New Wave of British Heavy Metalといった感じです。ギターフレーズの 所々に彼らしさがうかがえます。
YngwieのRising Forceもそうであったように、このSilver Mountainも なかなかメンバーが安定しませんでした。ときにG、Key、Voを含む6人編成 であったり、ツインギターの編成であったりしたようです。 今、僕が知る初期の Silver Mountain のラインナップは、
Jonas HanssonGuitar,Vocal
Magnus Norling Guitar
Ingemar StenqistBass
Mats BergentzDrums
および、
Jonas HanssonGuitar,Vocal
Magnus NorlingGuitar
Mikael LoernstamBass
Anders JohanssonDrums
という編成が分かっています。 しかし、'80年代になって、Per Stadin(Bass)、Anders Johansson(Drums)、Jens Johansson (Keyboard)が加入して、1stのラインナップが固まります。このメンバーで '82年"Skansk Rock 1"というコンピレーションアルバムに"She Needs"を 提供しています。また、このころ彼らは2本のデモテープを作成して、レコード 契約を得るべくあちこちのレコード会社に送りますが、そのデモテープに対する 反応は無かったそうです。YngwieとSilver Mountainとの結び付きはこの頃から あったようで、Yngwieのデモテープ作成にSilver Mountainが協力しています。 僕が知るかぎり、Yngwieの"As Above So Below"、"Anguish And Fear"、オフィシャル には発表されてはいませんが、"Jamming The Night Away"のデモにSilver Mountain が参加しています。また逆にSilver MountainのデモにYngwieが参加したことも あったようです。'

'83年に彼らは3本目のデモテープを作成します。このときのメンバーは、

Jonas HanssonGuitar,Vocal
Jens JohanssonKeyboards
Per StadinBass
Anders JohanssonDrums
です。翌年'84年、オランダの Roadrunnerとレコード契約を結ぶことができました。そして'84年春、1st"Shakin' Brains"がリリースされます。このアルバムは音質の悪さ、JonasのVoの危なっかしさが 否めないのですが、Jens と Jonas の Key と G の壮絶なバトルが炸裂し、 Deep Purple、Rainbowの影響を感じさせながら、北欧らしい美しい メロディ、クラシカルなメロディがあちこちに散りばめられていて、この1stを 北欧様式美の名盤とよぶ人も少なくありません。 Jonasは"1789"、"Looking For You"などではこれでもかといわんばかり弾きまくり、 Jensも"Always"、"Vikings"では鳥肌もののプレイを聴かせ、"Aftermath"、"Vikings" 、"Keep on keeping on"では両者の技と技がぶつかりあいます。このころ彼らは" Yngwieと双璧をなすギタリストとそれと同程度の技量をもつキーボードのいるバンド"、 "パープルの申し子達"などとよばれていました。それから彼らは自腹を切ってドイツを 中心に西ヨーロッパツアーを敢行します。そしてツアー終了後2ndアルバム制作を 目前に大きなショックがこのバンドを襲います。

ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、JensとAndersのJohansson兄弟が Yngwieに引き抜かれてしまったのです。それから彼らはメンバー探しに奔走し Dr、専任Vo、ゲストKeyを迎え、

Jonas HanssonGuitar,Vocal
Per StadinBass
Christer MentzerLead Vocal
Marten HedenerDrums
Eric Bjorn NelsenGuest Keyboards
のラインナップで 2nd"UNIVERSE"を'85年にリリースします。このアルバムでは専任ボーカリスト の加入で作品の安定感が増し、音質も向上しています。ただ前作に比べやはり KeyとGのバトルは減じられた感はあります。しかし作品のクオリティーは一気に 向上し、この作品こそが彼らの最高傑作ではないかと僕個人は思っています。 "Shakin' Brains"、"Call Of The Lords"、"Why"などに漂う古典美学の気品、 "Help Me"などで聴かれるGとKeyのコントラスト、"Handled Roughly"での泣きの Gなど聴き所の多い作品です。Yngwieとはまた違ったクラシックとHard Rockの ブレンドが堪能できます。この後
Jonas HanssonGuitar,Vocal
Per StadinBass
Christer MentzerLead Vocal
Marten HedenerDrums
Peter HartmanGuest Keyboards
という編成で数ヵ月活動していたようです。Peter Hartman は Jonas が Silver Mountain 結成以前に活動していた Fire にも在籍していた Key Player ですが、Japan tour 前に脱退しています。

2nd発表後、彼らはYngwieを除く北欧のアーティストとして初めて来日コンサートを '85年に行っています。このときキーボード奏者として最近まで Yngwie のもとで 活躍していた Mats Olausson が同行しています:

Jonas HanssonGuitar,Vocal
Per StadinBass
Christer MentzerLead Vocal
Marten HedenerDrums
Mats OlaussonGuest Keyboards
この模様はライブアルバム"HIBIYAーLIVE IN JAPAN '85" に収録されています。しかし、この来日コンサートへの評価はあまりよいものでは ありませんでした。なんとこのときのライブが彼らの'85の"初ライブ"だったのです。 そのためライブ慣れしていないなどの、評価を得てしまったのです。しかしながら 僕はここで聴ける"Always"から"Why"への曲展開はとても劇的で北欧様式美の 究極の形ではないかと思っています。それからこの初来日で彼らはアルバム未収録の "Meaningless"という曲を披露しています。なかなかいい曲で個人的には大変 気に入っている曲です。この曲の歌詞はまさに彼らの苦悩を表しているかのようで 詩を読む度に目頭が熱くなり、こみ上げてくるものがあります。

'86年に日本でのライブを収録した"HIBIYALIVE IN JAPAN '85"がリリースされた後、 彼らの情報はプッツリと途絶えてしまいます。唯一Christer Mentzerが結成した Norden Lightがアルバムをリリースしたぐらいです。Silver Mountainは 解散してしまったのかと誰もが思っていた矢先、'89初頭、3rd"Roses And Champagne" が自主レーベルHex Records名義でリリースされました。このときのメンバーは、

Jonas HanssonGuitar,Vocal
Per StadinBass
Johan DahlstromLead Vocal
Kjell GstavssonDrums
Eric Bjorn NelsenKeyboards
でした。ライブアルバムから3rdまでの間に多くの メンバーチェンジがあったのでしょう。特にVoがなかなか安定せず、大きな痛手 となっていたのではないかと思われます。3rdで聴かれるサウンドは哀愁、叙情性 、クラシカルなメロディはそのままにいわゆるメロディアスハードポップ的な 方向を打ち出しています。新加入のVoの甘い声質とも相成って非常に センチメンタリズムに溢れた作品となっています。前半部分に多少実験的な要素も 感じられますが、1曲目の"Romeo & Juliet"、5曲目"Coming Home"以降は"いかにも"、 という曲が聴かれます。

しかしその後間もなくブレインであったJonasが単身LAに渡ったためバンドは解散して しまうのです。しかし、バンド解散後も個々のメンバーは各々音楽活動を続けており JensとAndersのJohansson兄弟は様々なセッションに参加したり、Johansson Brothers/ Johansson名義での作品リリース、Per StadinのSnake Charmer、Jonas Hanssonの Jonas Hansson Band(このバンドはもともと"あの"ALCATRAZZの再結成の話から始まった) 。こうして1st時のメンバーが音楽活動をしている訳ですが、そうすると僕のような ものは、どうしても再結成して欲しいと思ってしまうのですが、 実際再結成するのでは?、という話(噂)もありますし、現にそのためのミーティング もしたようです。

僕がSilver Mountainを初めて聴いたのは'88年の夏でした。そのため彼らを リアルタイムで経験したとはいえません。本当にあと10年早く生まれていたら....... と思ったりします。僕は彼らにはインターバルは長くてもいいから、 できることならライブに来て欲しいけど無理してライブはしなくてもいいから 、せめて何年かに一度は Silver Mountain名義で作品をリリースして欲しいと思っています。今はただ 銀嶺の覇者たちの復活の日を切に願っています。

....... と書いてだいぶ時間が経ちました。そして、現実に 1st 時の ラインナップでの再結成アルバムのリリースがだいぶ現実味を帯びてきました。 レコーディングは確実に進行中のようです。B! の Legacy のインタビューで Jonas は’80年代初頭の作品が殆どだと語っていましたが、そうなると 作品の方向性は 1st "Shaking Brains" に近いものだと想像されます。 Bootleg としてリリースされている Anthology シリーズに収録されている作品が かなり含まれるようです。

私事ですが、今年は僕が Silver Mountain のファンになって10年目になります。 そして、彼らの最後の作品 "Roses & Champagne" がリリースされてから 10年目でもあります(3rd の日本盤は’89年初頭リリース)。 10年一昔と言いますが、僕にとっては Silver Mountain は決して "一昔前"のバンドではなく、今も尚強烈な素晴らしさを放ち続けています。 そして、彼らの再結成アルバムがリリースされるとやっと、僕も彼らと 同じ時間を共有できると思うと、それだけでも込み上げて来るものがあります。

そう!!!銀嶺の覇者の復活はもうすぐなのです!

'01/06/24追記:

そして、今年の6月21日、本当に夢にまで見たSilver Mountainの再結成アルバム が遂にリリースされましたっ!メンバーは勿論っ!:

Jonas HanssonGuitar,Vocal
Jens JohanssonKeyboards
Per StadinBass
Anders JohanssonDrums
Silver Mountainが解散してから12年という年月が流れましたが、今こうして アルバムに耳を傾けていると、'80年代のあの北欧メタルの香りに包まれた、 何とも言えない感動が胸に去来します。1stアルバムに感じられたインスト 部分のなんとも言えない緊張感がアルバムにみなぎり、あああっ、 本当に1stのメンバーが演奏してるんだなって感じられますよね。正直言えば 音質のうすっぺらさとか、曲によってはなんか尻切れトンボで終わっちゃう感じ の曲なんかもあって、完璧なアルバムとは言えませんけど、美しさとちょっと 陰のある妖しさ、クラシカルなメロディを楽曲のあちこちに散りばめたサウンド といった初期北欧メタルの多くのバンドが持ち合わせていた要素が満載された 作品になっていますよね。今回のアルバムに収められた曲は、'80年代初頭の 彼等の代表曲でこれまで正式にはリリースされていなかったマテリアルを新たに レコーディングしなおした物がほとんどで、楽曲の感じは1stアルバムと非常に よく類似していますけど、演奏が非常に安定していて安心して聴いていられます よね?(笑)。まぁ、JonasのVoは好き嫌いが分かれるかも知れませんけど、僕 は1st聴きまくって慣れちゃったせいかJonasのVoは全然抵抗ないですよ(^^)。 でも、やっぱり、AlwaysとかVikingsとかAftermathとか1789とかのクラスの曲を 聴きたかったかな?(笑)。あと、ほんとはAnthologyシリーズに入っていたLady Sunshineなんかも聴きかかったけど、Maniacが収録されて良としましょうっ!

多分今回の再結成は一度限りのものだと思いますけど、藤木さんがライナーノー ツで書いてましたけど、1stの再レコーディングって聴いてみたいですよね? いやぁ〜、今の彼等だったらほんととんでもないアルバムになるんじゃないです かね?1stのリレコーディングっ!うう、やっぱりファンとしては、あれもこれ もっていうわがままいろいろ出て来ちゃうなぁ〜(笑)。2ndとか3rdの頃の アウトテイクもしっかりした形で聴いてみたいなぁ、'85年の来日公演で演奏し たMeaninglessとか、3rdのアウトテイクのDream onとか ...

多分銀嶺再結成はもうないかとは思うんですけど、今回のアルバムを聴いてやっ ぱりJonasにはSilver Mountainの様な音楽をづっと作り続けていって欲しいなっ て強く感じてます。やっぱりJonas=銀嶺なんですよね。例え、JensやAndersがい なくても、Jonasが銀嶺やるっ!っていえばいつでも出来るんじゃないですかね? 1stも良いですけど、やっぱり2ndとか3rdの路線で悩殺されたいっすね。実際僕 がSilver Mountainのアルバムで一番好きなのは2nd"Universe"なんですよね。 確かにJensとAndersが抜けてKeyとかのスリリングな緊張感とかは減じましたけ ど。

... とちょっと個人的な思いを書きましたけど、今回の再結成やっぱり 聴きまくってます。曲は昔のものですけど、リアルタイムでSilver Mountainを 体験しているっていうのがなんともいえず、嬉しいんですよね。それにやっぱり 初期北欧メタルの香りに満ち溢れていて北欧メタルファンとしてはたまりません なっ!!!今はこの満足感と、心地よい興奮を充分に満喫したいですね。

..............それと、もし、もしも、願があと一つ叶うなら、
是非とも再結成ツアーをっ!!!!(涙)